あながちに山にのみ住む心かな
誰かは月の入るを惜しまぬ
- 歌の意味
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ひたすら月の沈む山にばかり心を寄せて住もうとする私の心であることよ。月の入るのを惜しまない人などいるだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 406
詞書は前の歌に続き「寄月述懐」
月に寄せて思いを述べる一連の六首目で、一連を結ぶ歌である。自分の心はひたすら山にばかり住もうとしている、誰であっても月が山に入るのを惜しまない人はいないのだから、と詠む。山に住む自分の生き方を、月の入る山を慕う心として述べ、山居の心を月によって説明している。
前歌が月ゆえにこの世に心がとどまる悩みを述べたのに対し、この歌は月を慕う心が自分を山へと向かわせるとしている。月への愛着が、世を捨てて山に住む生き方と結びついて一連が結ばれている。
初句「あながちに」は、ひたすら、むやみに、の意である。
二句「山にのみ住む」は、山にばかり住む、の意で、山に隠れ住む自分の生き方をいう。
三句「心かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、そのような心であることよ、と言い切る。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「誰かは月の」の「かは」は反語の係助詞で、誰が月の、の意である。
結句「入るを惜しまぬ」は、係助詞「かは」を受けて連体形で結び、入るのを惜しまないだろうか、いや誰でも惜しむ、と反語で結んでいる。上の句の理由を倒置で後に示している。
あながち:ひたすら、むやみに
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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捨てていにし憂き世に月の澄まであれな さらば心のとまらざらまし
- 次の歌
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ふりさけし人の心ぞ知られぬる 今宵三笠の月を眺めて