飽かずのみ都にて見し影よりも
旅こそ月はあはれなりけれ
- 歌の意味
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いつも見飽きることがないと思って都で見た月の光よりも、旅の空でこそ、月はしみじみと心にしみるものであった。
- 鑑賞
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秋歌 411
詞書「旅まかりける泊りにて」
詞書から、旅に出かけた折の宿泊地で詠んだ歌であることがわかる。都で見ていたときも、いつも見飽きることがないと思っていた月の光であったが、それよりも旅の空で見る月こそ、しみじみと心にしみるものであった、と詠む。旅の身の寂しさが、月のあわれをいっそう深くしていることを表している。
ここから旅先の月を詠む歌が続く。次歌は旅の月を都の形見と見、第四百十八首は都で月をあわれと思ったのはほんの慰みであったと詠み、都の月と旅の月とが対比されていく。
初句「飽かずのみ」は、見飽きることがないとばかり、の意である。
二句「都にて見し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、都で見た、の意である。
三句「影よりも」の「影」は月の光の意で、その月の光よりも、の意である。
四句「旅こそ月は」は、旅でこそ月は、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
結句「あはれなりけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形で結び、しみじみと心にしみるものだと気づいた感慨を表している。
あく:満足する、十分になる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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波に宿る月を汀にゆりよせて 鏡にかくる住吉の岸
- 次の歌
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見しままに姿も影も変はらねば 月ぞ都の形見なりける