見しままに姿も影も変はらねば
月ぞ都の形見なりける
- 歌の意味
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都で見たときのままに、姿も光も少しも変わらないので、月こそが都をしのぶ形見なのであった。
- 鑑賞
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秋歌 412
詞書は前の歌に続き「旅まかりける泊りにて」
前歌に続いて、旅の宿泊地で詠んだ歌である。旅先で見る月は、都で見ていたときのままに、その姿も光も少しも変わらないので、月こそが遠い都をしのぶ形見なのであった、と詠む。旅の身にとって、変わらない月が都とのつながりを感じさせるものであることを表している。
前歌が旅でこそ月はあわれだと詠んだのに対し、この歌は旅の月に都の月を重ねている。本巻の第三百五十首の月の不変を詠んだ歌と通じ、場所が変わっても同じ月が見られることを、都の形見として捉えている。
初句「見しままに」は、都で見たときのままに、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「姿も影も」は、月の形も光も、の意である。
三句「変はらねば」は、変わらないので、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「月ぞ都の」は、月こそが都の、の意で、係助詞「ぞ」は結句の「ける」と係り結びをなす。
結句「形見なりける」の「形見」は、離れた人や所をしのぶよすがとなるものをいい、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結んでいる。
かたみ:離れた人や所、過ぎた時をしのぶよすがとなるもの
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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飽かずのみ都にて見し影よりも 旅こそ月はあはれなりけれ
- 次の歌
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月はなほ夜な夜なごとに宿るべし 我が結びおく草の庵に