波の音を心にかけて明かすかな
苫漏る月の影を友にて
- 歌の意味
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波の音を心にかけて耳を傾けながら、夜を明かすことだ。苫葺きの屋根から漏れてくる月の光を友として。
- 鑑賞
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秋歌 414
詞書「心ざすことありて安芸の一宮へ参りけるに、たかとみの浦と申す所に、風に吹きとめられてほど経にけり、苫葺きたる庵より月の漏りくるを見て」
詞書から、思うところがあって安芸国の一宮、厳島へ参詣する途中、たかとみの浦という所で風に吹き止められて日を過ごした折、苫で葺いた庵から月の光が漏れ入るのを見て詠んだ歌であることがわかる。打ち寄せる波の音を心にかけながら眠らずに夜を明かす、苫屋根から漏れてくる月の光を友として、と詠む。
旅先で足止めされた心細さの中で、月の光だけを友とする姿が描かれている。前歌の、旅の庵に夜ごと宿る月と通じ、ここでは月の光が旅の友として詠まれている。次歌は、厳島に着いてからの月を詠んでいる。
初句「波の音を」は六音の字余りで、浦に打ち寄せる波の音を、の意である。
二句「心にかけて」は、心にとめて、気にかけて、の意で、波の音に耳を傾け続けるさまをいう。
三句「明かすかな」は、夜を明かすことだ、の意で、「かな」は詠嘆である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「苫漏る月の」の「苫」は、菅や茅で編んだむしろで、それで葺いた屋根から漏れる月の、の意である。
結句「影を友にて」は、月の光を友として、の意で、三句の夜の明かし方を倒置で後に示している。
とま:菅や茅などを編んだむしろで、屋根を葺くのに用いた
いちのみや:その国で最も格の高い神社、ここでは安芸国の厳島神社
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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月はなほ夜な夜なごとに宿るべし 我が結びおく草の庵に
- 次の歌
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もろともに旅なる空に月も出でて すめや影のあはれなるらん