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あはれ知る人見たらばと思ふかな
旅寝の床に宿る月影

歌の意味
ものの情趣を解する人がこれを見たならば、と思うことだ。旅寝の床に宿っている月の光を。
鑑賞
秋歌 416

詞書「旅宿月」
 詞書「旅宿月」は、旅の宿で見る月を詠む題である。旅寝の床にまで差し込んで宿っている月の光を見ると、もののあわれを解する人がこれを見たならば、どれほど感じ入るだろうかと思う、と詠む。ひとりで見る旅の月の美しさを、心ある人と分かち合いたいという思いを表している。
 本巻の第三百六十九首の、月を並んで見る人がいてほしいと願った歌と通じ、旅の空でも月を分かち合う人を求める心が詠まれている。ここから同じ題の歌が三首続く。

 初句「あはれ知る」は、もののあわれを知る、情趣を解する、の意で、二句の「人」にかかる。
 二句「人見たらばと」は、そのような人が見たならばと、の意で、仮定条件を示している。
 三句「思ふかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、思うことだ、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「旅寝の床に」は、旅先で寝る床に、の意である。
 結句「宿る月影」は体言止めで、旅寝の床に差し込んで宿る月の光を示し、三句の思いの対象を倒置で後に示している。

たびね:旅先で寝ること
作者
西行
出典
山家集
前の歌
もろともに旅なる空に月も出でて すめや影のあはれなるらん
次の歌
月宿る同じうき寝の波にしも 袖しをるべき契りありける