月宿る同じうき寝の波にしも
袖しをるべき契りありける
- 歌の意味
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月が宿っている、同じ波の上の浮き寝の、つらい寝覚めでさえ、涙に袖を濡らすはずの宿縁があったことだ。
- 鑑賞
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秋歌 417
詞書は前の歌に続き「旅宿月」
前歌に続いて「旅宿月」の題で詠まれた歌である。月が映って宿る同じ波の上に、船の中で浮き寝をするつらい旅寝でさえ、涙に袖を濡らすことになる宿縁があったのだなあ、と詠む。船旅の寂しさと、波に映る月を見て涙する自分の身の上とを、前世からの定めとして受けとめている。
「うき寝」に、水の上に浮かんで寝る「浮き寝」と、つらい思いで寝る「憂き寝」とを掛けている。月が宿る波と、涙が宿る袖とを対応させ、旅の月の歌を深めている。
初句「月宿る」は、月が映って宿っている、の意で、三句の「波」にかかる。
二句「同じうき寝の」の「うき寝」は、船の中など水の上で寝る「浮き寝」と、つらい思いで寝る「憂き寝」とを掛けた掛詞である。
三句「波にしも」の「しも」は強意の副助詞で、その波の上でまでも、の意である。
四句「袖しをるべき」の「しをる」は、涙に濡れてしょげる、の意で、袖を涙に濡らすはずの、の意である。
結句「契りありける」の「契り」は、前世からの約束、宿縁をいい、「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形で余情をこめて結ぶ。
うきね:水の上に浮かんで寝る「浮き寝」と、つらい思いで寝る「憂き寝」を掛ける
ちぎり:前世からの約束、宿縁
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あはれ知る人見たらばと思ふかな 旅寝の床に宿る月影
- 次の歌
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都にて月をあはれと思ひしは 数より外のすさびなりけり