- 歌の意味
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黒い烏の羽に書いた手紙のように、文字の見分けにくい心地がして、雁が鳴きながら渡っていく夕闇の空である。
- 鑑賞
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秋歌 421
詞書「入夜聞雁」
詞書「入夜聞雁」は、夜に入って雁の声を聞くことを詠む題である。夕闇の空を、雁が鳴きながら列をなして渡っていくが、その姿は闇にまぎれてよく見えず、まるで黒い烏の羽に書いた手紙のような心地がする、と詠む。雁の列を手紙の文字に見立てる伝統を踏まえ、闇の中の雁を黒地に書かれた文字にたとえている。
「烏羽に書く」は、『日本書紀』に見える、高麗から届いた国書が烏の羽に書かれていて読めなかったという故事を踏まえている。雁を手紙の使いとする「玉章」の見立ては、次歌以下の第四百二十三首、第四百二十四首にも続いている。
初句「烏羽に」は、烏の黒い羽に、の意で、黒地に黒い文字を書いて読みにくいという故事を踏まえている。
二句「書く玉章の」の「玉章」は手紙をいい、雁の列を手紙の文字に見立てている。
三句「心地して」は、そのような心地がして、の意である。
四句「雁鳴き渡る」は、雁が鳴きながら空を渡っていく、の意である。
結句「夕闇の空」は体言止めで、雁の姿の見分けにくい夕暮れの闇の空を示して結ぶ。
たまづさ:手紙、便り
からすば:烏の羽、また黒いもののたとえ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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横雲の風に別るるしののめに 山飛び越ゆる初雁の声
- 次の歌
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白雲を翼にかけて行く雁の 門田の面の友慕ふなり