玉章の続きは見えで雁がねの
声こそ霧に消たれざりけれ
- 歌の意味
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手紙の文字のように連なって飛ぶ雁の列は霧に隠れて見えないが、雁の声だけは霧にかき消されなかったことだ。
- 鑑賞
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秋歌 423
詞書「霧中雁」
詞書「霧中雁」は、霧の中の雁を詠む題である。手紙の文字のように連なって飛ぶ雁の列は、霧に隠れて見えないけれども、その鳴く声だけは霧にかき消されずに聞こえてくる、と詠む。霧によって姿が隠されても声は届くことを、手紙の見立てを用いて表している。
本巻の第四百二十一首の、雁の列を玉章に見立てる趣向を受けている。第四百二十一首では闇によって、この歌では霧によって雁の姿が隠され、それでも声だけが届くという点が共通している。
初句「玉章の」は、手紙の、の意で、雁の列を手紙の文字に見立てている。
二句「続きは見えで」の「で」は打消の接続助詞で、文字の続き、すなわち雁の列は見えないで、の意である。
三句「雁がねの」の「雁がね」は、雁、また雁の鳴く声をいう。
四句「声こそ霧に」は、声こそは霧に、の意で、係助詞「こそ」は結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
結句「消たれざりけれ」の「消つ」は消す意で、霧に消されなかった、の意である。係助詞「こそ」を受けて已然形で結んでいる。
かりがね:雁、また雁の鳴く声
けつ:消す
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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白雲を翼にかけて行く雁の 門田の面の友慕ふなり
- 次の歌
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空色のこなたを裏に立つ霧の 表に雁の掛くる玉章