鶉鳴く折にしなれば霧こめて
あはれさびしき深草の里
- 歌の意味
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鶉の鳴く季節になったので、霧が一面に立ちこめて、しみじみと寂しい深草の里であるよ。
- 鑑賞
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秋歌 425
詞書「霧」
詞書「霧」の題で詠まれた歌である。鶉の鳴く秋の季節になったので、霧が一面に立ちこめて、深草の里はしみじみと寂しい、と詠む。鶉の声と立ちこめる霧とによって、深草の里の寂しさを描いている。
深草の里と鶉の取り合わせは、『伊勢物語』で深草に住む女が、野となったならば鶉となって鳴いていようと詠んだ話によって知られ、以後、荒れた寂しい里の象徴として和歌に詠まれた。この歌もその伝統を踏まえ、霧を加えて寂しさを深めている。
初句「鶉鳴く」は、鶉が鳴く、の意で、秋の野の寂しい景物としての鶉をいう。
二句「折にしなれば」の「し」は強意の副助詞で、そういう季節になったので、の意である。
三句「霧こめて」は、霧が一面に立ちこめて、の意である。
四句「あはれさびしき」は、しみじみと寂しい、の意である。
結句「深草の里」は体言止めで、山城国の歌枕である深草の里を示して結ぶ。
うづら:野に住む小さな鳥で、秋の寂しい景物として詠まれた
ふかくさ:山城国の地名で、鶉の鳴く寂しい里として詠まれた歌枕
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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空色のこなたを裏に立つ霧の 表に雁の掛くる玉章
- 次の歌
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名残多き睦言尽きて帰りゆく 人をば霧も立ち隔てけり