名残多き睦言尽きて帰りゆく
人をば霧も立ち隔てけり
- 歌の意味
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名残の尽きない親しい語らいもとうとう終わって、帰っていく人を、霧までもが立ちこめて隔ててしまったことだ。
- 鑑賞
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秋歌 426
詞書「霧隔行客」
詞書「霧隔行客」は、霧が去っていく旅人を隔てることを詠む題である。名残の尽きない親しい語らいもとうとう終わり、別れて帰っていく人を、別れのつらさに加えて、霧までもが立ちこめて隔て、その姿を見えなくしてしまった、と詠む。別れの悲しみを、去りゆく人を隠す霧によって深めている。
前の歌々で霧は雁の姿を隠すものとして詠まれていたが、ここでは別れゆく人の姿を隔てるものとして詠まれ、霧の歌が人事へと広がっている。
初句「名残多き」は六音の字余りで、別れがたい思いの多い、の意である。
二句「睦言尽きて」の「睦言」は、親しい語らい、むつまじい話をいい、それも尽きて、の意である。
三句「帰りゆく」は、別れて帰っていく、の意で、四句の「人」にかかる。
四句「人をば霧も」の「も」は、別れの悲しみだけでなく霧までも、の含みをもつ。
結句「立ち隔てけり」は、霧が立ちこめて隔ててしまった、の意で、「立つ」は霧が立つ意を含み、「けり」は詠嘆である。
むつごと:親しい語らい、むつまじい話
なごり:別れた後に残る気配や思い
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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鶉鳴く折にしなれば霧こめて あはれさびしき深草の里
- 次の歌
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立ちこむる霧の下にも埋もれて 心晴れせぬ深山辺の里