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夜をこめて竹の網戸に立つ霧の
晴ればやがてや明けんとすらん

歌の意味
まだ夜の深いうちから、竹で編んだ戸に立ちこめている霧が、晴れたならば、そのまま夜が明けようとするのだろうか。
鑑賞
秋歌 428

詞書は前の歌に続き「山家霧」
 前歌に続いて「山家霧」の題で詠まれた歌である。まだ夜の深いうちから、山家の竹で編んだ戸のあたりに霧が立ちこめている、この霧が晴れたならば、そのまま夜が明けていくのだろうか、と詠む。夜明け前の山家の霧に、夜明けの訪れを待つ心を重ねている。
 前歌が霧に閉ざされて心晴れぬ山里を詠んだのに対し、この歌は霧が晴れることと夜が明けることとを重ね、霧の晴れる時を待つ心を詠んでいる。

 初句「夜をこめて」は、まだ夜の深いうちから、の意である。
 二句「竹の網戸に」の「網戸」は、竹などを編んで作った戸で、山家の粗末な戸をいう。
 三句「立つ霧の」は、立ちこめる霧が、の意である。
 四句「晴ればやがてや」の「晴れば」は、晴れたならば、の意で、「やがて」はそのまま、「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と呼応する。
 結句「明けんとすらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、夜が明けようとするのだろうか、と結んでいる。

あみど:竹などを編んで作った戸
よをこめて:まだ夜の深いうちから
作者
西行
出典
山家集
前の歌
立ちこむる霧の下にも埋もれて 心晴れせぬ深山辺の里
次の歌
しだり咲く萩の古枝に風かけて すがひすがひに牡鹿鳴くなり