鹿もわぶ空のけしきも時雨めり
かなしかれともなれる秋かな
- 歌の意味
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鹿もわびしげに鳴き、空の様子も時雨れてくるようだ。まるで悲しくあれと言わんばかりになっている秋であることよ。
- 鑑賞
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秋歌 434
詞書は前の歌に続き「鹿」
鹿を詠む一連の六首目である。鹿もわびしげに鳴き、空の様子も時雨れてきたようだ、まるで悲しくあれとでも言うかのように、すべてが悲しみに向かっている秋である、と詠む。鹿の声と時雨の空という秋の景物が、こぞって悲しみを誘っているさまを表している。
前歌が風と鹿の声との重なりにもの悲しさを見いだしたのを受け、この歌は鹿の声に時雨の空を加え、秋全体が悲しみに満ちているとしている。
初句「鹿もわぶ」の「わぶ」は、つらく思う、わびしく思う、の意で、鹿もわびしげに鳴く、の意である。
二句「空のけしきも」は、空の様子も、の意で、初句の「鹿も」と「も」を重ねて並べている。
三句「時雨めり」の「めり」は推定の助動詞で、時雨れてきたようだ、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「かなしかれとも」の「かなしかれ」は形容詞「かなし」の命令形で、悲しくあれと、の意である。
結句「なれる秋かな」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞で、そのようになっている秋であることよ、と結んでいる。
わぶ:つらく思う、わびしく思う
しぐる:時雨が降る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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山おろしに鹿の音たぐふ夕暮に ものかなしとはいふにやあるらん
- 次の歌
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なにとなく住ままほしくぞ思ほゆる 鹿あはれなる秋の山里