夜を残す寝覚めに聞くぞあはれなる
夢野の鹿もかくや鳴くらん
- 歌の意味
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まだ夜を残している暁の寝覚めに聞く鹿の声こそ、しみじみと心にしみる。あの夢野の鹿も、このように鳴いたのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 437
詞書「暁鹿」
詞書「暁鹿」は、暁に鳴く鹿を詠む題である。まだ夜の明けきらない暁、ふと目覚めたときに聞く鹿の声はしみじみと心にしみる、あの夢野の鹿も、このように鳴いていたのだろうか、と詠む。暁の寝覚めに聞く鹿の声から、夢と鹿にまつわる古い伝説へと思いを馳せている。
夢野の鹿は、『摂津国風土記』の逸文に見える伝説で、夢野に住む牡鹿が見た夢を妻の鹿が凶兆と解き、その通りに牡鹿が射殺されたという話である。寝覚めの「夢」から夢野の鹿を連想している。
初句「夜を残す」は、夜がまだ残っている、まだ夜の明けきらない、の意である。
二句「寝覚めに聞くぞ」は、目覚めたときに聞く声こそ、の意で、係助詞「ぞ」は三句の「なる」と係り結びをなす。
三句「あはれなる」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結び、しみじみと心にしみる、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「夢野の鹿も」の「夢野」は摂津国の地名で、夢にまつわる鹿の伝説で知られる。二句の「寝覚め」と縁がある。
結句「かくや鳴くらん」の「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞で、このように鳴いたのだろうか、と結んでいる。
ゆめの:摂津国の地名で、夢にまつわる鹿の伝説で知られる
ねざめ:夜中や明け方に目が覚めること
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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牡鹿鳴く小倉の山の裾近み ただ独りすむ我が心かな
- 次の歌
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篠原や霧にまがひて鳴く鹿の 声かすかなる秋の夕暮