隣ゐね原の仮屋に明かす夜は
鹿あはれなるものにぞありける
- 歌の意味
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隣に住む人もいない野原の仮小屋で夜を明かすときには、鹿の声がしみじみと心にしみるものであったのだ。
- 鑑賞
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秋歌 439
詞書「幽居聞鹿」
詞書「幽居聞鹿」は、人里離れた静かな住まいで鹿の声を聞くことを詠む題である。隣に住む人もいない野原の仮小屋で夜を明かしていると、鹿の鳴く声がしみじみと心にしみるものであった、と詠む。人の気配のない寂しい住まいでこそ、鹿の声のあわれが深く感じられることを表している。
本巻の第四百三十五首の「鹿あはれなる秋の山里」と同じく「鹿あはれなる」の句を用い、ここでは山里よりもさらに人里離れた野原の仮屋で鹿の声を聞いている。なお本文の初句は「となりゐね」とあり、読み仮名の行の「となりゐぬ」と一致しない。ここでは本文の表記に従うが、意味は読み仮名の行に従い、隣に人の住まない、と解する。
初句「隣ゐね」は、隣に人が住んでいない、の意に解され、題の「幽居」に当たる。
二句「原の仮屋に」の「仮屋」は、仮に造った粗末な小屋をいい、野原の中の仮小屋に、の意である。
三句「明かす夜は」は、夜を明かすときは、の意で、「は」で取り立てている。
四句「鹿あはれなる」は、鹿の声がしみじみと心にしみる、の意で、本巻の第四百三十五首の四句と同じである。
結句「ものにぞありける」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びで、そういうものであったのだ、と気づいた感慨を表している。
かりや:仮に造った粗末な小屋
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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篠原や霧にまがひて鳴く鹿の 声かすかなる秋の夕暮
- 次の歌
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小山田の庵近く鳴く鹿の音に 驚かされて驚かすかな