独り寝の夜寒になるに重ねばや
誰がために打つ衣なるらん
- 歌の意味
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独り寝の夜が寒くなってきたので、私もその衣を重ねて着たいものだ。いったい誰のために打っている衣なのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 442
詞書「独聞擣衣」
詞書「独聞擣衣」は、ひとりで衣を打つ砧の音を聞くことを詠む題である。秋が深まって独り寝の夜が寒くなってきたので、どこからか聞こえてくる砧で打たれているその衣を、自分も重ねて着たいものだ、いったい誰のために打っている衣なのだろうか、と詠む。夜寒の独り寝の寂しさと、衣を打つ音にこめられた誰かへの思いとを重ねている。
ここから衣を打つ砧を詠む歌が二首続く。砧で衣を打つのは、夫や恋人を思う女性の姿として和歌に詠まれることが多く、この歌もその心を、独り寝の身から思いやっている。
初句「独り寝の」は、ひとりで寝る、の意で、題の「独」に当たる。
二句「夜寒になるに」は、夜の寒さが増してくるので、の意である。
三句「重ねばや」の「ばや」は自己の願望を表す終助詞で、重ねて着たいものだ、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「誰がために打つ」は、誰のために打っている、の意で、砧で衣を打つことをいう。
結句「衣なるらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、衣なのだろうか、と結んでいる。
よさむ:夜の寒さ、秋の夜の肌寒さ
うつ:砧で衣を打って柔らかくし、つやを出す
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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鹿の音を聞くにつけても住む人の 心知らるる小野の山里
- 次の歌
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小夜衣いづくの里に打つならん 遠く聞こゆる槌の音かな