野辺に鳴く虫もやものはかなしきに
答へましかば問ひて聞かまし
- 歌の意味
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野辺に鳴く虫も、私と同じようにもの悲しいのだろうか。もし答えてくれるものならば、尋ねて聞いてみたいものだ。
- 鑑賞
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秋歌 450
詞書は前の歌に続き「虫の歌詠み侍りけるに」
虫を詠む一連の六首目である。野辺で鳴いている虫も、自分と同じようにもの悲しくて鳴いているのだろうか、もし虫が答えてくれるものならば、尋ねてその心を聞いてみたいものだ、と詠む。虫の声に自分と同じ悲しみを感じ取り、虫の心を知りたいと願っている。
前の歌々が虫の声に自分が涙する姿を詠んだのに対し、この歌は虫の側の心に思いを向けている。反実仮想の「ましかば〜まし」を用い、答えるはずのない虫に問いかけたい思いを表している。
初句「野辺に鳴く」は、野辺で鳴いている、の意で、二句の「虫」にかかる。
二句「虫もやものは」の「も」は、自分と同じく虫も、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
三句「かなしきに」は、もの悲しいのだろうか、の意で、「に」は下へ続ける接続の働きをしている。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「答へましかば」の「ましか」は反実仮想の助動詞「まし」の已然形で、もし答えてくれるならば、の意である。
結句「問ひて聞かまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、尋ねて聞いてみたいものだ、と四句と呼応して結ぶ。
とふ:尋ねる、問う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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虫の音をよそに思ひて明かさねば 袂も露は野辺に変はらじ
- 次の歌
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秋の夜を独りやなきて明かさまし ともなふ虫の声なかりせば