秋の夜を独りやなきて明かさまし
ともなふ虫の声なかりせば
- 歌の意味
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秋の長い夜を、ひとりで泣いて明かしただろうか。もし、私とともに鳴いてくれる虫の声がなかったならば。
- 鑑賞
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秋歌 451
詞書は前の歌に続き「虫の歌詠み侍りけるに」
虫を詠む一連の七首目である。秋の長い夜を、自分はただひとりで泣いて明かしたことだろう、もし自分とともに鳴いてくれる虫の声がなかったならば、と詠む。虫の声を、ひとりで泣く夜の寂しさを分かち合ってくれる友として捉えている。
「なき」に、人が「泣く」意と虫が「鳴く」意とを掛け、泣く自分と鳴く虫とを重ねている。前歌が虫の心を尋ねたいと願ったのに対し、この歌は虫をともに泣いてくれる友と見ている。
初句「秋の夜を」は、秋の長い夜を、の意である。
二句「独りやなきて」の「なき」は、人が「泣く」意と虫が「鳴く」意とを掛けた掛詞で、「や」は疑問の係助詞である。ひとりで泣いて、の意である。
三句「明かさまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、夜を明かしただろうか、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「ともなふ虫の」は、自分に連れ添ってくれる虫の、の意である。
結句「声なかりせば」は、声がなかったならば、の意で、三句と呼応する反実仮想の条件を倒置で後に示している。
なく:人が「泣く」意と、虫が「鳴く」意を掛ける
ともなふ:連れ添う、いっしょに行動する
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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野辺に鳴く虫もやものはかなしきに 答へましかば問ひて聞かまし
- 次の歌
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秋の夜に声も休まず鳴く虫を つゆまどろまで聞き明かすかな