夜もすがら袂に虫の音をかけて
払ひわづらふ袖の白露
- 歌の意味
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一晩じゅう、虫の声を袂にかけるようにして聞き続けて、払いかねている袖の白露、すなわち涙であるよ。
- 鑑賞
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秋歌 454
詞書は前の歌に続き「虫の歌詠み侍りけるに」
虫を詠む一連の十首目である。一晩じゅう、虫の鳴く声を袂にかけるように身近に聞き続けて、その声に誘われてこぼれる袖の白露、すなわち涙を、払おうとしても払いかねている、と詠む。虫の声と袖の露とを結びつけ、夜通し涙に濡れる袖を描いている。
本巻の第四百四十八首、第四百四十九首の、虫の声に袖を濡らす歌と通じる。袖に虫の声を「かけて」、その袖の露を「払ひわづらふ」と、袖を中心に虫の声と涙とを重ねている。
初句「夜もすがら」は、一晩じゅう、夜通し、の意である。
二句「袂に虫の」は、袂に虫の、の意である。
三句「音をかけて」は、虫の声を袂にかけるように身近に聞き続けて、の意である。
四句「払ひわづらふ」の「わづらふ」は、〜しかねる、の意で、払いかねている、の意である。
結句「袖の白露」は体言止めで、袖に置く白露、すなわち涙を示して結ぶ。
わづらふ:〜しかねる、苦労する
よもすがら:一晩じゅう、夜通し
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋の野の尾花が袖に招かせて いかなる人をまつ虫の声
- 次の歌
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きりぎりす夜寒になるを告げ顔に 枕のもとに来つつ鳴くなり