秋深み弱るは虫の声のみか
聞く我とても頼みやはある
- 歌の意味
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秋が深まったので弱っていくのは、虫の声だけであろうか。それを聞いている私とても、命の頼みがあろうか、ありはしない。
- 鑑賞
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秋歌 457
詞書は前の歌に続き「虫の歌詠み侍りけるに」
虫を詠む一連の十三首目である。秋が深まって弱っていくのは虫の声だけであろうか、それを聞いている自分にしても、いつまで生きられるという頼みがあるわけではない、と詠む。衰えていく虫の声に、自分の命のはかなさを重ねている。
前歌が弱っていく虫の声に秋の日数を数えたのを受け、この歌はその衰えを自分自身の身の上にまで引き寄せている。虫の一連は、虫の声を通して人の命の無常を見つめるところまで深まっている。
初句「秋深み」は、秋が深いので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて原因や理由を表している。
二句「弱るは虫の」は、弱っていくのは虫の、の意である。
三句「声のみか」は、声だけであろうか、の意で、「か」は疑問を表している。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「聞く我とても」は、それを聞いている私であっても、の意である。
結句「頼みやはある」の「やは」は反語の係助詞で、頼みがあろうか、いやない、と結んでいる。
たのみ:あてにすること、頼りになるもの
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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虫の音を弱りゆくかと聞くからに 心に秋の日数をぞ経る
- 次の歌
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虫の音に露けかるべき袂かは あやしや心もの思ふべし