壁に生ふる小草にわぶるきりぎりす
時雨るる庭の露厭ふべし
- 歌の意味
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家の壁に生えた小草にとりついて、わびしげに鳴いているこおろぎは、時雨の降る庭の露を厭うているのだろう。
- 鑑賞
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秋歌 461
詞書「雨中虫」
詞書「雨中虫」は、雨の中で鳴く虫を詠む題である。家の壁に生えたわずかな小草にとりついて、わびしげに鳴いているこおろぎは、時雨の降る庭の冷たい露を厭って、ここに身を寄せているのだろう、と詠む。雨を避けて壁ぎわに寄る虫の姿に、晩秋の寂しさを捉えている。
本巻の第四百五十五首で枕もとに来て鳴くこおろぎを詠んだのと通じ、ここでは時雨を避けて家の壁ぎわに寄るこおろぎを詠んでいる。秋の深まりとともに、虫が人の住まいへ近づいてくるさまが重ねて描かれている。
初句「壁に生ふる」は六音の字余りで、家の壁に生えている、の意である。
二句「小草にわぶる」の「わぶ」は、わびしく思う、つらく思う、の意で、小草にとりついてわびしげに鳴く、の意である。
三句「きりぎりす」は、今のこおろぎをいう。
四句「時雨るる庭の」は、時雨の降る庭の、の意である。
結句「露厭ふべし」の「べし」は推量の助動詞で、露を厭うているのだろう、と推し量って結ぶ。
わぶ:つらく思う、わびしく思う
いとふ:嫌う、いやがる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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草深み分け入りて訪ふ人もあれや ふりゆく跡の鈴虫の声
- 次の歌
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小萩咲く山田のくろの虫の音に 庵守る人や袖濡らすらん