小萩咲く山田のくろの虫の音に
庵守る人や袖濡らすらん
- 歌の意味
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小萩の咲く山の田の畔で鳴く虫の声に、番小屋で田を守る人は、涙で袖を濡らしているのだろうか。
- 鑑賞
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秋歌 462
詞書「田庵聞虫」
詞書「田庵聞虫」は、田の番小屋で虫の声を聞くことを詠む題である。小萩の咲く山の田の畔で鳴く虫の声を聞いて、番小屋に寝泊まりして田を守っている人は、その寂しさに涙で袖を濡らしているのだろうか、と詠む。田の番をする人の孤独を、虫の声を通して思いやっている。
本巻の第四百四十首の、山田の庵で鹿の声に目を覚まされる歌と同じく田の番小屋を舞台とし、ここでは鹿に代わって虫の声が詠まれている。
初句「小萩咲く」は、小さな萩の咲く、の意で、「小」は接頭語である。
二句「山田のくろの」の「くろ」は、田と田の間の土を盛り上げた境、畔をいう。
三句「虫の音に」は、虫の鳴く声に、の意である。
四句「庵守る人や」は、番小屋で田を守る人は、の意で、「や」は疑問の係助詞で結句の「らん」と呼応する。
結句「袖濡らすらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、係助詞「や」を受けて連体形で結び、袖を濡らしているのだろうか、と推し量っている。
くろ:田と田の間の土を盛り上げた境、畔
いほもる:番小屋に住んで田を守る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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壁に生ふる小草にわぶるきりぎりす 時雨るる庭の露厭ふべし
- 次の歌
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うち過ぐる人なき道の夕されば 声にて送るくつわ虫かな