うち過ぐる人なき道の夕されば
声にて送るくつわ虫かな
- 歌の意味
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通り過ぎていく人もない道に夕方がやって来ると、その声で旅人を見送ってくれるくつわ虫であることよ。
- 鑑賞
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秋歌 463
詞書「暮路虫」
詞書「暮路虫」は、夕暮れの道で鳴く虫を詠む題である。通り過ぎる人の姿もない寂しい道に夕暮れが訪れると、くつわ虫が鳴いて、まるでその声で道行く自分を見送ってくれるかのようだ、と詠む。寂しい夕暮れの道で、虫の声だけが道連れとなる旅の心を描いている。
くつわ虫の名は、その鳴き声が馬の轡の鳴る音に似ていることによるもので、馬に乗って行く人を送る声という連想がはたらいている。
初句「うち過ぐる」の「うち」は接頭語で、通り過ぎる、の意である。
二句「人なき道の」は、人の姿もない道の、の意である。
三句「夕されば」は、夕方になると、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「声にて送る」は、その鳴き声で見送る、の意で、虫を見送りの人に見立てている。
結句「くつわ虫かな」は、鳴き声が馬の轡の音に似ることから名づけられたくつわ虫をいい、「かな」で詠嘆して結ぶ。
くつわむし:鳴き声が馬の轡の音に似る秋の虫
ゆふさる:夕方になる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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小萩咲く山田のくろの虫の音に 庵守る人や袖濡らすらん
- 次の歌
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眺むれば袖にも露ぞこぼれける 外面の小田の秋の夕暮