- 歌の意味
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秋が深まって、もはや並び立つ花もない菊であるから、霜も遠慮して場所をよけて置いてほしいと思うのだ。
- 鑑賞
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秋歌 468
詞書は前の歌に続き「菊」
前歌に続いて「菊」の題で詠まれた歌である。秋が深まって、ほかの花はみな散ってしまい、並び立つ花もない菊であるから、霜もこの菊には一目置いて、場所をよけて降りてほしいと思う、と詠む。晩秋にただひとり咲き残る菊を惜しみ、霜にさえ敬意を求めている。
「所を置く」は、遠慮して控える、一目置く、の意の言い回しで、これを霜が「置く」ことに重ねている。前の二首が菊を長寿や仙境の花として讃えたのに対し、この歌は晩秋に咲き残る菊を霜から守りたいという心を詠んでいる。
初句「秋深み」は、秋が深いので、の意で、形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表している。
二句「並ぶ花なき」は、並び立つほかの花もない、の意で、菊がただひとり咲き残っていることをいう。
三句「菊なれば」は、菊であるので、の意で、已然形に「ば」が付いた確定条件である。
四句「所を霜の」は、「所を置く」という言い回しを用い、霜が遠慮して場所をよけて、の意である。
結句「置けとこそ思へ」の「置け」は命令形で、係助詞「こそ」を受けて已然形「思へ」で結ぶ係り結びである。霜が置くことと所を置くこととを重ね、そう置いてほしいと思うことだ、と強めている。
ところをおく:遠慮して控える、一目置く
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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幾秋に我あひぬらん長月の 九日に摘む八重の白菊
- 次の歌
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ませなくは何をしるしに思はまし 月にまがよふ白菊の花