ませなくは何をしるしに思はまし
月にまがよふ白菊の花
- 歌の意味
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もし籬がなかったならば、何を目じるしにして、そこに花があると思っただろうか。月の光と見分けのつかない白菊の花は。
- 鑑賞
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秋歌 469
詞書「月前菊」
詞書「月前菊」は、月の前の菊を詠む題である。月の光の中で、白菊の花は月光の白さとまぎれて見分けがつかないので、もし花を囲う籬がなかったならば、何を目じるしにそこに花があると思っただろうか、と詠む。月光と白菊との白さの重なりを、反実仮想の形で表している。
本巻の第三百八十六首で花薄が月の光とまぎれると詠んだのと同じく、ここでは白菊が月の光とまぎれている。前の菊の歌々に月を取り合わせ、月と菊という秋の二つの景物をまとめている。
初句「ませなくは」の「ませ」は、低い垣根、籬をいい、もし籬がなかったならば、の意である。
二句「何をしるしに」は、何を目じるしとして、の意である。
三句「思はまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、初句の「なくは」と呼応し、思っただろうか、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「月にまがよふ」の「まがよふ」は、入り交じって見分けがつかない、の意で、月の光とまぎれる、の意である。
結句「白菊の花」は体言止めで、月光とまぎれる白菊を示して結ぶ。
ませ:低い垣根、籬
しるし:目じるし、証拠
まがよふ:入り交じって見分けがつかない
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋深み並ぶ花なき菊なれば 所を霜の置けとこそ思へ
- 次の歌
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心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮