さらぬだに声弱かりし松虫の
秋の末には聞きも分かれず
- 歌の意味
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そうでなくてさえ声の弱かった松虫が、秋の末にはもう、その声を聞き分けることもできない。
- 鑑賞
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秋歌 475
詞書「秋の末に松虫を聞きて」
詞書から、秋の末に松虫の声を聞いて詠んだ歌であることがわかる。そうでなくてさえもともと声の弱かった松虫が、秋も末になると、いっそう声が衰えて、ほかの音と聞き分けることもできなくなってしまった、と詠む。晩秋の虫の声の衰えに、秋の終わりを感じ取っている。
本巻の第四百五十六首、第四百五十七首で、弱っていく虫の声に秋の深まりと自分の命のはかなさを見たのと通じ、ここではその声がついに聞き分けられなくなるところまで来ている。秋の終わりに向かう本巻の流れの中で、虫の声の結末を示している。
初句「さらぬだに」は、そうでなくてさえ、の意である。
二句「声弱かりし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、もともと声の弱かった、の意である。
三句「松虫の」は、秋に鳴く虫である松虫の、の意である。
四句「秋の末には」は、秋も終わりに近づいた頃には、の意である。
結句「聞きも分かれず」の「れ」は可能の助動詞「る」の未然形で、聞き分けることもできない、の意である。
さらぬだに:そうでなくてさえ
まつむし:秋に鳴く虫の一つ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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染めてけり紅葉の色のくれなゐを 時雨ると見えし深山辺の里
- 次の歌
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梢あれば枯れゆく野辺はいかがせん 虫の音残せ秋の山里