梢あれば枯れゆく野辺はいかがせん
虫の音残せ秋の山里
- 歌の意味
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山里には紅葉した梢があるからまだよいが、枯れていく野辺はどうしたらよいのだろう。せめて虫の声だけは残しておくれ、秋の山里よ。
- 鑑賞
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秋歌 476
詞書は前の歌に続き「秋の末に松虫を聞きて」
前歌に続いて、秋の末に松虫を聞いて詠んだ歌である。山里には紅葉した梢があって秋の名残を楽しめるが、草が枯れていく野辺にはもう見るものもなく、どうしたらよいのだろう、せめて虫の声だけは残しておいてほしい、秋の山里よ、と詠む。去りゆく秋の名残を、虫の声にとどめておきたいと願っている。
前歌が聞き分けられなくなった松虫の声を詠んだのを受け、この歌はその虫の声を残してほしいと秋の山里に呼びかけている。結句「秋の山里」は本巻の第三百二首、第三百十八首、第四百三十五首と同じで、秋の山里の情趣を詠む歌の結びとなっている。
初句「梢あれば」は、紅葉した梢があるので、の意で、山里にはまだ秋の名残があることをいう。
二句「枯れゆく野辺は」は、草が枯れていく野辺は、の意で、初句の梢と対比されている。
三句「いかがせん」は、どうしたらよいだろう、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「虫の音残せ」の「残せ」は命令形で、虫の声を残しておくれ、の意である。
結句「秋の山里」は呼びかけの対象を示し、本巻の第三百二首などと同じ結句で結んでいる。
こずゑ:木の幹や枝の先の部分
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さらぬだに声弱かりし松虫の 秋の末には聞きも分かれず
- 次の歌
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さまざまの錦ありける深山かな 花見し嶺を時雨染めつつ