紅葉散る野原を分けて行く人は
花ならぬまた錦着るべし
- 歌の意味
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紅葉の散る野原を分けて行く人は、春の花の錦ではないが、また別の紅葉の錦を身にまとうことになるだろう。
- 鑑賞
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秋歌 483
詞書「草花の野路の紅葉」
詞書の題は、草花の咲く野道に散る紅葉を詠むものである。紅葉が散り敷く野原を分けて行く人は、春の花の錦ではないけれども、散りかかる紅葉によって、また別の錦を身にまとうことになるだろう、と詠む。散る紅葉に包まれて歩く人の姿を、錦の衣を着た人に見立てている。
本巻の第二百六十九首で萩の露に袖を染めた歌や、第二百七十二首で萩の野を唐錦に見立てた歌と通じ、ここでは紅葉の散る野を行く人が錦をまとうと詠んでいる。春の花の錦と秋の紅葉の錦とを対比させている。
初句「紅葉散る」は、紅葉が散る、の意で、二句の「野原」にかかる。
二句「野原を分けて」は、野原を分け入って、の意である。
三句「行く人は」は、進んで行く人は、の意で、「は」で取り立てている。
四句「花ならぬまた」は、春の花の錦ではない、また別の、の意である。
結句「錦着るべし」の「べし」は推量の助動詞で、紅葉の錦を身にまとうことになるだろう、と結んでいる。
にしき:色糸で模様を織り出した美しい織物、また美しいもののたとえ
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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常盤なる松の緑に神さびて 紅葉ぞ秋は朱の玉垣
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大堰川井堰に淀む水の色に 秋深くなるほどぞ知らるる