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秋暮るる月並分くる山がつの
心うらやむ今日の夕暮

歌の意味
秋が暮れていくのを、暦の月の区切りで割り切っている山里の人の心を、うらやましく思う今日の夕暮れである。
鑑賞
秋歌 489

詞書は前の歌に続き「暮秋」
 前歌に続いて「暮秋」の題で詠まれた歌である。暦の月が改まれば秋は終わりだと、月の区切りで割り切ってしまえる山里の人の素朴な心が、秋を惜しんでやまない自分にはうらやましく思われる、秋の最後の今日の夕暮れである、と詠む。去りゆく秋への名残惜しさの深さを、割り切れる人へのうらやみとして表している。
 前歌が紅葉を秋の形見として眺めていたいと願ったのに対し、この歌は秋の終わる日の夕暮れに、なお秋を惜しむ自分の心を見つめている。本巻の秋の夕暮れの歌は、ここで秋そのものの最後の夕暮れに至っている。

 初句「秋暮るる」は、秋が暮れていく、の意である。
 二句「月並分くる」の「月並」は月の順序、暦の月をいい、暦の月の区切りで季節を分ける、の意である。
 三句「山がつの」の「山がつ」は、山里に住む身分の低い者をいう。
 四句「心うらやむ」は、その心をうらやましく思う、の意である。
 結句「今日の夕暮」は体言止めで、秋の最後の日の夕暮れを示して結ぶ。

やまがつ:山里に住む身分の低い者
つきなみ:月の順序、暦の月
作者
西行
出典
山家集
前の歌
暮れ果つる秋の形見にしばし見ん 紅葉散らすな木枯らしの風
次の歌
惜しめども鐘の音さへ変はるかな 霜にや露を結びかふらん