霜うづむ葎が下のきりぎりす
あるかなきかの声聞こゆなり
- 歌の意味
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霜が埋めつくしている葎の下で鳴くこおろぎの、あるかないかわからないほどかすかな声が聞こえてくる。
- 鑑賞
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冬歌 493
詞書「十月初めつ方、山里にまかりたりけるに、きりぎりすの声のわづかにしければ詠める」
詞書から、陰暦十月の初めごろ、山里に出かけた折に、こおろぎの声がかすかにしたので詠んだ歌であることがわかる。霜に覆われた葎の下から、こおろぎの消え入りそうな声が聞こえる、と詠み、秋の虫が冬に入っても細々と生き残っているはかなさを捉えている。
秋の部で盛んに詠まれた虫の声が、冬の初めにかすかに残るさまを示しており、秋から冬への移りを音によって伝える一首である。
初句「霜うづむ」は、霜が一面に覆いつくす、の意で、冬の初めの山里の冷え込みを示している。
二句「葎が下の」の「葎」は荒れた庭や野に生い茂る雑草で、山里の荒れたさまを表している。
三句「きりぎりす」は、今のこおろぎのことである。
四句「あるかなきかの」は、あるのかないのかわからないほどの、の意で、声のかすかさを強調している。
結句「声聞こゆなり」の「なり」は、音や声によって推し量る推定の助動詞で、かすかに聞こえてくる、の意である。
むぐら:荒れ地や庭に生い茂る雑草の総称
きりぎりす:今のこおろぎのこと
まかる:「行く」をへりくだっていう語、出かける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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寝覚めする人の心をわびしめて 時雨るる音は悲しかりけり
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