木の葉散れば月に心ぞあらはるる
深山隠れに住まんと思ふに
- 歌の意味
-
木の葉が散ってしまうと、月の光に私の心があらわになってしまう。深い山に隠れて住もうと思っているのに。
- 鑑賞
-
冬歌 495
詞書「暁落葉」
題「暁落葉」は、明け方に散る木の葉を詠む題である。木の葉が散り尽くすと、明け方の月の光がさえぎるものなく差し込み、深い山の奥に隠れ住もうと思っている自分の心までも、月の光にあらわにされてしまう、と詠む。人目を避けて隠れ住もうとする心と、すべてを照らし出す月の光とを対比させている。
次歌も同じ題で詠まれた二首目である。また本巻の第四百九十四首が、木の葉によって住まいが隠されることを詠んだのに対し、この歌は木の葉が散ることによって心があらわになることを詠んでおり、木の葉が隠すものと、散ってあらわれるものとが対になっている。
初句「木の葉散れば」は六音の字余りで、木の葉が散ってしまうと、の意である。「ば」は確定条件を示す。
二句「月に心ぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「あらはるる」と係り結びをなしている。
三句「あらはるる」は、隠れていたものがあらわになる、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結んでいる。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「深山隠れに」の「深山隠れ」は、深い山の奥に隠れること、またその場所をいう。
結句「住まんと思ふに」の「ん」は意志の助動詞、「に」は逆接を示し、住もうと思うのに、の意である。三句までの内容と倒置の関係になっている。
みやまがくれ:深い山の奥に隠れること、またその場所
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
道もなし宿は木の葉に埋もれて まだきせさする冬籠りかな
- 次の歌
-
時雨かと寝覚めの床に聞こゆるは 嵐に堪へぬ木の葉なりけり