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時雨かと寝覚めの床に聞こゆるは
嵐に堪へぬ木の葉なりけり

歌の意味
時雨が降るのかと、寝覚めの床に聞こえてきたのは、嵐に耐えきれずに散る木の葉の音であったのだなあ。
鑑賞
冬歌 496

詞書は前の歌に続き「暁落葉」
 「暁落葉」の題で詠まれた二首目である。明け方、寝覚めの床で時雨の音かと思って聞いていたのは、実は嵐に耐えきれずに散り落ちる木の葉の音であった、と気づく歌である。落ち葉の音を時雨の音に聞きまがえる趣向で、明け方の静けさの中に響く音をとらえている。
 前歌が月の光という目に映るものによって落葉を詠んだのに対し、この歌は耳に聞こえる音によって落葉を詠んでおり、視覚と聴覚とで題を詠み分けている。また本巻の第四百九十二首と同じく、寝覚めに聞く時雨の音を題材としている。

 初句「時雨かと」は、時雨が降るのかと、の意で、初めに聞き手が思ったことを示している。
 二句「寝覚めの床に」の「寝覚め」は夜中や明け方に目を覚ますことで、題の「暁」に当たる。
 三句「聞こゆるは」は、聞こえてくるのは、の意で、下の句でその正体を明かす形になっている。
 四句「嵐に堪へぬ」は、嵐に耐えきれない、の意で、「ぬ」は打消の助動詞である。
 結句「木の葉なりけり」の「けり」は、それと気づいたことを表す詠嘆の助動詞で、時雨の音と思ったものが木の葉の音であったと気づく驚きを示して結ぶ。題の「落葉」に当たる。

ねざめ:夜中や明け方に目を覚ますこと
作者
西行
出典
山家集
前の歌
木の葉散れば月に心ぞあらはるる 深山隠れに住まんと思ふに
次の歌
竜田姫染めし梢の散る折は 紅洗ふ山川の水