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紅葉寄る網代の布の色染めて
ひをくくりとは見えぬなりけり

歌の意味
紅葉が流れ寄る網代は、布を色に染めたようになって、氷魚をとらえる網代とは見えないことだ。
鑑賞
冬歌 504

詞書「落葉留網代」
 題「落葉留網代」は、散った木の葉が網代に留まるさまを詠む題である。川に仕掛けた網代に紅葉が流れ寄って留まり、網代はまるで布を色に染めたように見え、氷魚をとらえる仕掛けとは見えなくなった、と詠む。網代を染め物に見立て、四句の「ひをくくり」に、氷魚をとらえる意と、緋色に括り染めにする意とを重ねていると解される。
 本巻の第四百九十七首が、散った紅葉を浮かべる山川の水を紅を洗う水と見たのに対し、この歌は流れ寄った紅葉を網代を染める色と見ており、水に流れる紅葉を染め物に見立てる趣向が共通している。

 初句「紅葉寄る」は、紅葉が流れ寄る、の意である。
 二句「網代の布の」の「網代」は、川の瀬に竹や木を編んで立て、氷魚をとらえる仕掛けである。それを布に見立てている。
 三句「色染めて」は、色を染めて、の意で、紅葉が網代の布を染めることをいう。
 四句「ひをくくりとは」の「ひをくくり」は、網代で氷魚をくくりとらえる意と、緋色に括り染めにする意とを掛けた掛詞と解される。
 結句「見えぬなりけり」の「ぬ」は打消、「なりけり」は断定と詠嘆で、見えないことだ、の意である。

あじろ:川の瀬に竹や木を編んで立て、魚をとらえる仕掛け
ひを:鮎の稚魚
くくる:網代で氷魚をくくりとらえる意と、緋色に括り染めにする意を掛ける
作者
西行
出典
山家集
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東屋のあまりにも降る時雨かな 誰かは知らぬ神無月とは
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