かきこめし裾野の薄霜枯れて
寂しさまさる柴の庵かな
- 歌の意味
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庵を囲い込んでいた山すその野の薄が霜に枯れて、寂しさがいっそうまさる柴の庵であることよ。
- 鑑賞
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冬歌 505
詞書「山家枯草と言ふことを、覚範僧都の房にて人々詠みけるに」
詞書から、覚範僧都の僧房で、人々が「山家枯草」という題で詠んだ折の作であることがわかる。庵を囲むように茂っていた山すその野の薄が、霜にあって枯れてしまい、柴の庵の寂しさがいっそう増した、と詠む。秋には庵を包んでいた薄が冬に枯れ、住まいがあらわになった寂しさを捉えている。
本巻の第五百十五首も、垣根の葛が霜に枯れて寂しく見える冬の山里を詠んでおり、住まいを囲む草が霜枯れて寂しさが増すという同じ構図を持っている。
初句「かきこめし」の「かきこむ」は、囲い込む、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。薄が庵を囲っていたことをいう。
二句「裾野の薄」の「裾野」は、山のふもとに広がる野である。
三句「霜枯れて」の「霜枯る」は、霜にあって草木が枯れる、の意である。
四句「寂しさまさる」は、寂しさがいっそうまさる、の意で、薄の枯れたことで寂しさが増したことをいう。
結句「柴の庵かな」の「柴の庵」は、柴で作った粗末な住まいで、「かな」は詠嘆である。
かきこむ:囲い込む
すその:山のふもとに広がる野
しもがる:霜にあって草木が枯れる
しばのいほ:柴で作った粗末な住まい
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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紅葉寄る網代の布の色染めて ひをくくりとは見えぬなりけり
- 次の歌
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さまざまに花咲きけりと見し野辺の 同じ色にも霜枯れにけり