さまざまに花咲きけりと見し野辺の
同じ色にも霜枯れにけり
- 歌の意味
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さまざまに花が咲いていることだと見た野辺が、今はすっかり同じ色に霜枯れてしまったことだ。
- 鑑賞
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冬歌 506
詞書「野辺寒草と言ふことを、双林寺にて詠みけるに」
詞書から、京の東山の双林寺で「野辺寒草」という題を詠んだ折の作であることがわかる。秋にはいろいろな花が咲いていると眺めた野辺も、冬になって霜にあい、一面同じ枯れ色になってしまった、と詠む。色とりどりの秋の野と、一色に枯れた冬の野とを対比させている。
巻第三の巻頭の第二百五十四首が「さまざまのあはれ」と詠み起こしたように、この歌も初句「さまざまに」で秋の多彩さを示し、それが冬に同じ色へと変わってしまったさまを示している。
初句「さまざまに」は、いろいろに、の意で、秋の花の多彩さを示している。四句の「同じ色」と対をなす。
二句「花咲きけりと」の「けり」は、それと気づいた詠嘆の助動詞で、花が咲いていることだ、の意である。
三句「見し野辺の」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、かつて見た野辺の、の意である。
四句「同じ色にも」は、同じ色に、の意で、初句の「さまざまに」と対比させ、枯れて一色になった野を示している。
結句「霜枯れにけり」の「霜枯る」は霜にあって枯れることで、「にけり」は完了と詠嘆である。題の「寒草」に当たる。
しもがる:霜にあって草木が枯れる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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かきこめし裾野の薄霜枯れて 寂しさまさる柴の庵かな
- 次の歌
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分けかねし袖に露をば留め置きて 霜に朽ちぬる真野の萩原