分けかねし袖に露をば留め置きて
霜に朽ちぬる真野の萩原
- 歌の意味
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分け入るのにも難儀したほど茂っていた萩は、分け行く私の袖に露を残し置いて、自らは霜にあって朽ちてしまった、真野の萩原であることよ。
- 鑑賞
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冬歌 507
詞書「枯野草」
題「枯野草」は、枯れ野の草を詠む題で、同じ題の歌が三首続くうちの一首目である。秋には茂って分け入るのも難しかった真野の萩原は、分け行く人の袖に露を置き残したまま、自らは霜にあって朽ちてしまった、と詠む。秋の露と冬の霜とによって、萩原の盛りと衰えを示している。
歌枕である真野の萩原を舞台とし、秋に萩を分けて濡れた袖の記憶と、冬の霜に朽ちた萩原の現在とを重ねている。
初句「分けかねし」は、分け入りかねた、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。萩が茂って分け入るのが難しかった秋の萩原を示す。
二句「袖に露をば」の「をば」は、格助詞「を」に係助詞「は」が付いたもので、袖に置いた露を取り立てている。
三句「留め置きて」は、残し置いて、の意で、萩が袖に露だけを残したことをいう。
四句「霜に朽ちぬる」の「朽つ」は、朽ちる、衰えはてる、の意で、「ぬる」は完了の助動詞の連体形である。
結句「真野の萩原」は体言止めで、歌枕の真野の萩の野原を示して結ぶ。題の「枯野草」に当たる。
くつ:朽ちる、衰えはてる
はぎはら:萩が一面に生えている野原
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さまざまに花咲きけりと見し野辺の 同じ色にも霜枯れにけり
- 次の歌
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霜かづく枯れ野の草の寂しきに いづくは人の心とむらん