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霜冴ゆる庭の木の葉を踏み分けて
月は見るやと訪ふ人もがな

歌の意味
霜が冷たく凍る庭の木の葉を踏み分けて、「月を見ているか」と訪ねてくる人がいればよいのになあ。
鑑賞
冬歌 521

詞書「閑夜冬月」
 題「閑夜冬月」は、もの静かな夜の冬の月を詠む題である。霜が冷たく凍る庭の落ち葉を踏み分けて、「この月を見ているか」と訪ねてくれる人がいればよいのに、と願う歌である。美しい冬の月を一人で見る寂しさと、ともに月を愛でる人を待つ心とが詠まれている。
 本巻の第五百五十七首も結句を「訪ふ人もがな」とし、山里の寂しさを訪ねてくれる人を願っている。訪れる人を待つ心が本巻で繰り返し詠まれている。

 初句「霜冴ゆる」の「冴ゆ」は、冷え込む、凍る、の意で、霜が冷たく凍るさまをいう。
 二句「庭の木の葉を」は、庭に散った木の葉を、の意である。
 三句「踏み分けて」の「踏み分く」は、踏んで押し分けて進む、の意である。
 四句「月は見るやと」の「や」は疑問の係助詞で、月を見ているか、と問いかける訪問者の言葉を示している。
 結句「訪ふ人もがな」の「訪ふ」は訪ねる、見舞う、の意で、「もがな」は願望の終助詞である。そうした人がいればよいのに、と願って結ぶ。

ふみわく:踏んで押し分けて進む
とふ:訪ねる、見舞う
作者
西行
出典
山家集
前の歌
氷敷く沼の葦原風冴えて 月も光ぞ寂しかりける
次の歌
さゆと見えて冬深くなる月影は 水なき庭に氷をぞ敷く