合はせつる木居のはし鷹そばへかし
犬飼ひ人の声しきりなり
- 歌の意味
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獲物に向けて放ったのに木にとまってしまったはし鷹よ、こちらのそばへ来いよ、と呼ぶ犬飼いの声がしきりに聞こえる。
- 鑑賞
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冬歌 523
詞書「鷹狩」
鷹狩を題とする歌である。獲物に向けて放ったはし鷹が、獲物をとらえずに木の枝にとまってしまい、その鷹を呼び戻そうと、犬飼いの者がしきりに声をかけている、と鷹狩の場の一場面を詠んでいると解される。冬の野で行われる鷹狩のにぎやかな声を捉えている。
次の二首も「雪中鷹狩」の題で鷹狩を詠んでおり、三首で鷹狩の一連をなしている。
初句「合はせつる」の「合はす」は、鷹を獲物に向けて放つ、の意で、「つる」は完了の助動詞の連体形である。
二句「木居のはし鷹」の「木居」は、鷹が木の枝にとまっていることをいう。「はし鷹」は小形の鷹で、鷹狩に用いられた。
三句「そばへかし」は、そばへ来いよ、の意と解され、「かし」は念を押す終助詞である。犬飼いが鷹に呼びかける言葉である。
四句「犬飼ひ人の」の「犬飼ひ人」は、鷹狩で獲物を追い出す犬を扱う役の者である。
結句「声しきりなり」は、声がしきりに聞こえる、の意で、鷹を呼び戻そうとする声のにぎやかさを示して結ぶ。
あはす:鷹を獲物に向けて放つ
こゐ:鷹が木の枝にとまっていること
はしたか:小形の鷹で、鷹狩に用いた
いぬかひ:鷹狩で犬を扱う役の者
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さゆと見えて冬深くなる月影は 水なき庭に氷をぞ敷く
- 次の歌
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かきくらす雪に雉は見えねども 羽音に鈴を加へてぞやる