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かきくらす雪に雉は見えねども
羽音に鈴を加へてぞやる

歌の意味
空を暗くして降りしきる雪で雉の姿は見えないけれども、鷹の羽音に鈴の音を添えて放ってやる。
鑑賞
冬歌 524

詞書「雪中鷹狩」
 題「雪中鷹狩」は、雪の中で行う鷹狩を詠む題で、鷹狩を詠む一連の二首目である。空を暗くするほど降りしきる雪のために、獲物の雉の姿は見えないけれども、尾に鈴をつけた鷹を、羽音に鈴の音を添えて放ってやる、と詠む。目には見えない雪の中の鷹狩を、羽音と鈴の音という音によって捉えている。
 前歌が鷹を呼び戻す犬飼いの声を詠んだのに続き、この歌は鷹を放つ場面を音によって詠んでおり、鷹狩の一場面を声と音とで描き継いでいる。

 初句「かきくらす」の「かきくらす」は、空を一面に暗くする、の意で、激しく降る雪のさまをいう。
 二句「雪に雉は」の「雉」は雉の古い呼び名で、鷹狩の獲物である。
 三句「見えねども」の「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形で、「ども」は逆接である。見えないけれども、の意である。
 四句「羽音に鈴を」の「羽音」は鷹の羽ばたきの音、「鈴」は鷹の尾につける鈴である。
 結句「加へてぞやる」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「やる」と係り結びをなしている。「やる」は、行かせる、放つ、の意である。

かきくらす:空を一面に暗くする
きぎす:雉の古い呼び名
やる:行かせる、放つ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
合はせつる木居のはし鷹そばへかし 犬飼ひ人の声しきりなり
次の歌
降る雪に鳥立ちも見えず埋もれて とりどころなき御狩野の原