たゆみつつ橇の早緒も付けなくに
積もりにけりな越の白雪
- 歌の意味
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油断していて、そりの引き綱もまだ付けていないのに、もう積もってしまったことだなあ、越の国の白雪は。
- 鑑賞
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冬歌 529
詞書「雪の歌詠みけるに」
雪の歌を詠んだ折の作である。雪国である越の国の人々が、まだ大丈夫だと油断して、そりの引き綱もまだ付けずにいるうちに、白雪はもう深く積もってしまった、と詠む。雪の多い北陸の暮らしに思いを寄せ、思いがけず早く深く積もる雪の勢いを捉えている。
そりや早緒という雪国の暮らしの道具を詠み込んだところに、都の雪とは異なる越の国の雪の深さが表されている。
初句「たゆみつつ」の「たゆむ」は、気がゆるむ、油断する、の意で、「つつ」は継続を示している。
二句「橇の早緒も」の「早緒」は、そりなどを引く綱である。
三句「付けなくに」の「なくに」は、〜ないのに、の意で、そりの用意もしていないのに、の意である。
四句「積もりにけりな」の「にけり」は完了と詠嘆、「な」は詠嘆の終助詞で、積もってしまったことだなあ、の意である。ここで句切れとなる四句切れの歌である。
結句「越の白雪」の「越」は北陸地方の古い呼び名で、雪の深い地として詠まれた。体言止めで、四句の主語を最後に置く倒置となっている。
たゆむ:気がゆるむ、油断する
そり:雪の上を滑らせて人や荷を運ぶ道具
はやを:そりなどを引く綱
こし:北陸地方の古い呼び名
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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枯れ果つる萱が上葉に降る雪は さらに尾花の心地こそすれ
- 次の歌
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降る雪に枝折りし柴も埋もれて 思はぬ山に冬籠りぬる