- 歌の意味
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雪が深く埋めてしまったことだなあ。あなたが来るかと、紅葉の錦を敷いて待っていた山道を。
- 鑑賞
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冬歌 531
詞書「秋ごろ、高野へ参るべきよし頼めて、参らざりける人のもとへ、雪降りてのち、申しつかはしける」
詞書から、秋のころに高野山へ訪ねてくると約束しておきながら来なかった人のもとへ、雪が降ってから送った歌であることがわかる。あなたが来るかと思って、紅葉の錦を敷いて待っていた山道を、今はもう雪が深く埋めてしまった、と詠む。来なかった相手への恨みを、秋から冬への山道の変化に託して、やわらかく伝えている。
紅葉の散り敷く山道を錦に見立て、それを雪が埋めたとすることで、秋の約束が果たされないまま季節が過ぎたことを示している。
初句「雪深く」は、雪が深く、の意である。
二句「埋みてけりな」の「てけり」は完了と詠嘆、「な」は詠嘆の終助詞で、埋めてしまったことだなあ、の意である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「君来やと」の「や」は疑問の係助詞で、あなたが来るかと、の意である。
四句「紅葉の錦」の「錦」は色とりどりの糸で模様を織り出した織物で、散り敷いた紅葉を錦に見立てている。
結句「敷きし山路を」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、敷いていた山道を、の意である。二句の「埋みてけりな」の対象を後に置いた倒置となっている。
たのむ:あてにさせる、約束して期待させる
にしき:色とりどりの糸で模様を織り出した織物
やまぢ:山の中の道
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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降る雪に枝折りし柴も埋もれて 思はぬ山に冬籠りぬる
- 次の歌
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我が宿に庭よりほかの道もがな 訪ひ来ん人の跡付けで見ん