我が宿に庭よりほかの道もがな
訪ひ来ん人の跡付けで見ん
- 歌の意味
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私の家に、庭を通る道のほかに別の道があればよいのに。訪ねてくる人の足跡を付けないままで、庭の雪を見ていたいから。
- 鑑賞
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冬歌 532
詞書「雪朝待人」
題「雪朝待人」は、雪の朝に人を待つ心を詠む題である。人の訪れは待ち遠しいけれども、庭に積もった雪に足跡が付いてしまうのは惜しい。だから庭を通る道のほかに別の道があればよい、そうすれば訪ねてくる人の足跡を付けないまま雪を眺めていられる、と詠む。人を待つ心と、雪の美しさを惜しむ心とのはざまを捉えている。
『詞花和歌集』の和泉式部の歌「待つ人の今も来たらばいかがせむ踏ままく惜しき庭の雪かな」と同じく、訪れを待ちながら庭の雪が踏まれることを惜しむ心を詠んでいる。次歌の詞書もこの和泉式部の歌を引いている。
初句「我が宿に」は、私の住まいに、の意である。
二句「庭よりほかの」は、庭を通る道のほかの、の意である。
三句「道もがな」の「もがな」は願望の終助詞で、道があればよいのに、の意である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「訪ひ来ん人の」の「訪ひ来」は訪ねてくる、の意で、「ん」は婉曲の助動詞である。
結句「跡付けで見ん」の「で」は打消の接続助詞で、足跡を付けないで、の意である。「ん」は意志の助動詞で、そのまま雪を見ていたい、と結ぶ。
とひく:訪ねてくる
あと:足跡
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雪深く埋みてけりな君来やと 紅葉の錦敷きし山路を
- 次の歌
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人来ばと思ひて雪を見るほどに しか跡付くることもありけり