裏返す小忌の衣と見ゆるかな
竹のうれ葉に降れる白雪
- 歌の意味
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裏返した小忌の衣のように見えることよ。竹の葉先に降り積もった白雪は。
- 鑑賞
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冬歌 536
詞書「賀茂の臨時の祭の還立の御神楽、土御門内裏にて侍りけるに、竹の坪に雪の降りたりけるを見て」
詞書から、賀茂の臨時の祭のあとの還立の御神楽が土御門内裏で行われた折、竹の植えられた坪庭に雪が降ったのを見て詠んだ歌であることがわかる。竹の葉先に白雪が降り積もり、緑と白とが入りまじるさまを、神事に奉仕する人が着る小忌の衣を裏返したようだ、と見立てている。宮中の神事の場にふさわしく、神楽の衣装にちなんだ見立てである。
前歌が雪に折れ伏した庭の呉竹を詠んだのに続き、この歌は竹の葉先に積もる雪の美しさを詠んでおり、竹と雪とを取り合わせて二首を並べている。
初句「裏返す」は、裏返す、の意で、衣の裏を表に返したさまをいう。
二句「小忌の衣と」の「小忌の衣」は、神事に奉仕する者が着る白い衣で、山藍で模様を摺り出したものである。
三句「見ゆるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「竹のうれ葉に」の「うれ葉」は草木の葉先のことである。
結句「降れる白雪」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、降り積もっている白雪は、の意である。体言止めで、見立ての対象を最後に置く倒置の形で結んでいる。
かへりだち:臨時の祭のあと、使いや舞人が宮中に帰って神楽などを奏すること
つぼ:建物に囲まれた中庭
をみのころも:神事に奉仕する者が着る白い衣で、山藍で模様を摺り出したもの
うれは:草木の葉先
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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雪埋む園の呉竹折れ伏して ねぐら求むるむら雀かな
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玉垣は朱も緑も埋もれて 雪おもしろき松の尾の山