なにとなく暮るるしづりの音までも
雪あはれなる深草の里
- 歌の意味
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なんということもなく、日の暮れていく中で枝から雪の落ちる音までも、雪がしみじみと心にしみる深草の里であることよ。
- 鑑賞
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冬歌 538
詞書「雪歌詠みけるに」
雪の歌を詠んだ折の作で、同じ詞書のもとに六首が続くうちの一首目である。なんということもなく日が暮れていく中、木の枝に積もった雪が落ちる音までが、しみじみと心にしみる深草の里の雪景色を詠む。寂しい里として知られた深草に降る雪のあわれを、かすかな音によって捉えている。
本巻の第五百十七首が冬枯れの山里に澄む月をあわれと詠んだように、この歌は深草の里の雪をあわれと詠み、寂しい里の冬の情趣を音によって示している。
初句「なにとなく」は、なんということもなく、の意で、とりたてて理由もなく心にしみるさまをいう。
二句「暮るるしづりの」の「しづり」は、木の枝などに積もった雪が落ちること、またその雪である。日の暮れていく中で雪の落ちる、の意である。
三句「音までも」の「までも」は、目に見える景色だけでなく音までも、の意である。
四句「雪あはれなる」の「あはれなり」は、しみじみと心を動かされるさまをいう。
結句「深草の里」の「深草」は山城国の地名で、寂しい里として詠まれた歌枕である。体言止めで結ぶ。
しづり:木の枝などに積もった雪が落ちること、またその雪
ふかくさ:山城国の地名で、寂しい里として詠まれた歌枕
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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玉垣は朱も緑も埋もれて 雪おもしろき松の尾の山
- 次の歌
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雪降れば野路も山路も埋もれて をちこち知らぬ旅の空かな