雪降れば野路も山路も埋もれて
をちこち知らぬ旅の空かな
- 歌の意味
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雪が降ると、野の道も山の道も埋もれてしまって、遠くも近くもわからなくなる旅の空であることよ。
- 鑑賞
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冬歌 539
詞書は前の歌に続き「雪歌詠みけるに」
雪の歌を詠んだ折の六首のうちの二首目である。雪が降ると、野の道も山の道もすっかり埋もれてしまい、どこが遠くどこが近いのかもわからなくなって、旅先で途方に暮れる、と詠む。雪に覆われて方角や距離の手がかりを失った旅の心細さを捉えている。
本巻の第五百三十首が雪に道しるべの柴まで埋もれて冬籠りすることを詠んだのに対し、この歌は旅の途中で雪に道を見失うことを詠んでおり、雪が道を埋めるという同じ主題を、籠る者と旅する者という異なる立場で詠んでいる。
初句「雪降れば」の「ば」は確定条件で、雪が降ると、の意である。
二句「野路も山路も」の「野路」は野の中の道、「山路」は山の中の道で、二つを並べている。
三句「埋もれて」は、すっかり覆われて見えなくなって、の意である。
四句「をちこち知らぬ」の「をちこち」は、遠い所と近い所、の意で、その区別もつかない、の意である。
結句「旅の空かな」の「旅の空」は、旅先、旅の途中の身の上をいう。「かな」は詠嘆である。
のぢ:野の中の道
をちこち:遠い所と近い所、あちらこちら
たびのそら:旅先、旅の途中の身の上
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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なにとなく暮るるしづりの音までも 雪あはれなる深草の里
- 次の歌
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青根山苔の筵の上に敷く 雪は白嶺の心地こそすれ