杣人の槙の仮屋のあだ臥しに
音するものは霰なりけり
- 歌の意味
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杣人が槙で作った仮小屋での仮寝の床に、音を立てて訪れるものは霰であったよ。
- 鑑賞
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冬歌 545
詞書「深山霰」
題「深山霰」は、深い山に降る霰を詠む題である。深い山で木を切り出す杣人が、槙で作った仮小屋に仮寝していると、その寝床に音を立てて訪れるものは、ほかでもない霰であった、と詠む。人里離れた山中で、訪れるものといえば霰ばかりという寂しさを捉えている。
本巻の第五百二首が、訪れてくる人はなく、山をめぐる時雨だけが訪れると詠んだのと同じく、この歌も「音する」ものとして人の代わりに霰を詠んでおり、時雨と霰という異なるもので同じ趣向を詠んでいる。
初句「杣人の」の「杣人」は、山で木を切り出す人、きこりのことである。
二句「槙の仮屋の」の「槙」は杉や檜などの良材となる木、「仮屋」は仮に作った小屋である。
三句「あだ臥しに」の「あだ臥し」は、仮に寝ること、仮寝のことである。
四句「音するものは」の「音す」は、音を立てる意と、訪れる意とを含んでいる。
結句「霰なりけり」の「なりけり」は断定と詠嘆で、それは霰であったよ、と気づいた驚きを示して結ぶ。
そまびと:山で木を切り出す人、きこり
まき:杉や檜などの良材となる木
かりや:仮に作った小屋
あだぶし:仮に寝ること、仮寝
おとす:音を立てる、訪れる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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瀬戸渡る棚無し小舟心せよ 霰乱るるしまき横切る
- 次の歌
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ただは落ちで枝を伝へる霰かな つぼめる花の散る心地して