限りあらん雲こそあらめ炭竃の
煙に月のすすけぬるかな
- 歌の意味
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月を隠すにしても限りのある雲ならばそれもよいだろうが、炭竃の煙で月がすすけてしまったことよ。
- 鑑賞
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冬歌 547
詞書「月前炭竃」
題「月前炭竃」は、月の前に立ちのぼる炭竃の煙を詠む題である。月を隠すのが、いずれは晴れる限りのある雲であるならばそれもしかたがないが、炭を焼く竃の煙のために、月がすすけて黒ずんでしまった、と詠む。煙に曇る月を、すすで汚れたものとしておかしみをこめて捉えている。
本巻の第五百六十六首も、炭を焼く煙のたちこめる小野の山里を詠んでおり、炭竃の煙という山里の冬の景物を取り上げる点で共通している。
初句「限りあらん」の「ん」は婉曲の助動詞で、月を隠すにも限りのある、の意である。
二句「雲こそあらめ」の「こそ」は強意の係助詞で、已然形「め」と係り結びをなし、それはそれでよいだろうが、と逆接で下に続いている。
三句「炭竃の」の「炭竃」は、木を焼いて炭を作るかまである。
四句「煙に月の」は、煙のために月が、の意で、「に」は原因を示している。
結句「すすけぬるかな」の「すすく」は、すすで黒くよごれる、の意で、「ぬる」は完了の助動詞の連体形、「かな」は詠嘆である。
すみがま:木を焼いて炭を作るかま
すすく:すすで黒くよごれる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ただは落ちで枝を伝へる霰かな つぼめる花の散る心地して
- 次の歌
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淡路島磯回の千鳥声しげみ 瀬戸の潮風冴え渡る夜は