やせ渡る湊の風に月更けて
潮干るかたに千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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水が細って一面に浅くなっていく湊を吹く風の中、月も夜更けて傾き、潮の引いていく干潟の方で千鳥の鳴く声が聞こえる。
- 鑑賞
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冬歌 552
詞書は前の歌に続き「千鳥」
「千鳥」の題で詠まれた五首のうちの五首目である。潮が引いて水の浅くなっていく湊に風が吹き、月も夜更けて傾くころ、潮の引いた干潟の方で千鳥が鳴いている、と詠む。夜更けの湊の寂しい景色の中に、千鳥の声を聞き取っている。
本巻の第五百四十九首と同じ結句「千鳥鳴くなり」で結ばれ、潮の引いた海辺で千鳥の声を聞くという同じ場面を、夕暮れと夜更けとで詠み分けている。
初句「やせ渡る」の「やせ渡る」は、潮が引いて水が細り、一面に浅くなっていくさまをいうと解される。
二句「湊の風に」の「湊」は、河口や入り江など、舟の出入りする所である。
三句「月更けて」は、月も夜更けて、の意で、夜の深まりを示している。
四句「潮干るかたに」の「かた」は、方角の意の「方」と、干潟の意の「潟」とを掛けた掛詞である。潮の引いた干潟の方に、の意となる。
結句「千鳥鳴くなり」の「なり」は、音や声によって推し量る推定の助動詞である。本巻の第五百四十九首と同じ結句である。
やせわたる:潮が引いて水が細り、一面に浅くなっていく意と解される
みなと:河口や入り江など、舟の出入りする所
かた:方角の意の「方」と、干潟の意の「潟」を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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冴ゆれども心安くぞ聞き明かす 川瀬の千鳥友具してけり
- 次の歌
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千鳥鳴く絵島の浦に澄む月を 波に映して見る今宵かな