氷割る筏の棹のたゆければ
持ちや越さまし保津の山越え
- 歌の意味
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氷を割って進む筏の棹を操る腕がだるく疲れてしまうので、いっそ筏を担いで保津の山を越えてしまおうか。
- 鑑賞
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冬歌 556
詞書「氷筏を閉づと言ふことを」
題「氷筏を閉づ」は、氷が筏を閉じ込めるさまを詠む題である。川に張った氷を割りながら筏を進めていると、棹を操る腕がだるく疲れてしまうので、いっそ筏を持って保津の山を越えて運んでしまおうか、と詠む。氷に閉ざされた川で筏を流す難儀を、おかしみをこめて捉えている。
前の二首が氷によって流れの止まった山の水や滝を詠んだのに続き、この歌は氷によって筏の行く手が閉ざされるさまを詠んでおり、氷の題の歌がここで三首続いている。
初句「氷割る」は、氷を割る、の意で、川に張った氷を割りながら進むことをいう。
二句「筏の棹の」の「筏」は木材を組み合わせて川に流すもので、「棹」はそれを進めるための長い棒である。
三句「たゆければ」の「たゆし」は、だるい、疲れて力が抜ける、の意で、「ば」は確定条件を示している。
四句「持ちや越さまし」の「や」は疑問の係助詞で、「まし」はためらいを含む意志の助動詞である。持って越えようか、の意で、ここで句切れとなる四句切れの歌である。
結句「保津の山越え」の「保津」は丹波国の地名で、保津川の筏流しで知られた。体言止めで結び、四句と倒置の関係にある。
いかだ:木材を組み合わせて川に流すもの
さを:舟や筏を進めるための長い棒
ほつ:丹波国の地名で、保津川の筏流しで知られた
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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水上に水や氷を結ぶらん くるとも見えぬ滝の白糸
- 次の歌
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花も枯れ紅葉も散らぬ山里は 寂しさをまた訪ふ人もがな