津の国の葦の丸屋の寂しさは
冬こそわけて訪ふべかりけれ
- 歌の意味
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摂津の国の、葦で葺いた粗末な小屋の寂しさは、冬にこそとりわけ訪ねて味わうべきものであったのだ。
- 鑑賞
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冬歌 559
詞書は前の歌に続き「冬歌十首」
「冬歌十首」の三首目である。葦の名所である摂津の国の、葦で葺いた粗末な小屋の寂しさは、ほかの季節よりも、冬にこそとりわけ訪ねて味わうべきものであった、と詠む。冬の寂しさそのものを、訪ねて味わう価値のある情趣として捉えている。
前歌までの冬の山里に対し、この歌は摂津の国の葦の生える水辺の小屋を舞台としており、本巻の第五百十首、第五百十四首で詠まれた難波江の葦とも響き合っている。
初句「津の国の」の「津の国」は摂津国のことで、葦の名所として知られた難波を含む。
二句「葦の丸屋の」の「丸屋」は、葦や萱で屋根を葺いた粗末な小屋である。
三句「寂しさは」は、寂しさは、の意で、この歌の主題を示している。
四句「冬こそわけて」の「わけて」は、とりわけ、特に、の意で、「こそ」は強意の係助詞として結句の已然形「けれ」と係り結びをなしている。
結句「訪ふべかりけれ」の「訪ふ」は訪ねる意で、「べかりけれ」は、訪ねるべきであったのだ、の意である。係助詞「こそ」を受けて已然形で結んでいる。
つのくに:摂津国のこと
まろや:葦や萱で屋根を葺いた粗末な小屋
とふ:訪ねる、見舞う
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ひとり住む片山陰の友なれや 嵐に晴るる冬の山里
- 次の歌
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冴ゆる夜はよその空にぞ鴛も鳴く 凍りにけりな昆陽の池水