- 歌の意味
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いつもの年よりも心細く思われることだ。旅の空で年が暮れてしまったので。
- 鑑賞
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冬歌 572
詞書「陸奥にて、年の暮れに詠める」
詞書から、陸奥の国で年の暮れに詠んだ歌であることがわかる。若いころの最初の陸奥への旅の折の作とされる。住み慣れた所ではなく、遠い旅の空で年の暮れを迎えたので、いつもの年よりもいっそう心細く思われる、と詠む。旅先で迎える年の暮れの心細さを、素直に表している。
本巻の第五百三十九首も「旅の空」を詠み、雪に道を失う旅の心細さを示していた。またこの歌の結句「年の暮れぬる」は第五百七十六首と同じで、第五百七十五首の「年は暮れぬる」とも響き合い、年の暮れを詠む歌が続いている。
初句「常よりも」は、いつもよりも、の意で、いつもの年の暮れと比べている。
二句「心細くぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「思ほゆる」と係り結びをなしている。
三句「思ほゆる」の「思ほゆ」は、自然と思われる、の意である。係助詞「ぞ」を受けて連体形で結び、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「旅の空にて」の「旅の空」は、旅先、旅の途中の身の上をいう。
結句「年の暮れぬる」の「ぬる」は完了の助動詞の連体形で、年が暮れてしまったので、と心細さの理由を示している。三句までと倒置の関係にある。
みちのく:陸奥国、今の東北地方
おもほゆ:自然と思われる
たびのそら:旅先、旅の途中の身の上
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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わりなしや氷る筧の水ゆゑに 思ひ捨ててし春の待たるる
- 次の歌
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新しき柴の編み戸を立て替へて 年のあくるを待ちわたるかな